IVSCの歴史と評価基準の「グローバルな橋渡し」
IVSC(International Valuation Standards Council)は、世界共通の価値評価(バリュエーション)基準を策定・維持することを目的とした、独立した非営利組織です。
その歴史の出発点は、英国、米国、および欧州大陸など異なる経済圏で独自に発展していた評価基準の「橋渡し」をすることにありました。経済のグローバル化が進むなかで、国や地域ごとに評価の前提や手法が異なると、クロスボーダーのM&Aや国際的な投資活動、財務報告において大きな障壁となります。
そのため、評価基準の統一化・標準化を図り、評価結果の「一貫性」「透明性」「信頼性」を世界規模で担保することがIVSCの最大の存在意義です。現在では不動産にとどまらず、企業価値、無形資産、金融商品など幅広い分野を網羅する基準を提供しています。
IVS 2025の主な特徴とアップデート
適用が開始された「IVS 2025」では、昨今の急速なビジネス環境の変化や市場の要請を反映し、いくつかの重要な改訂が行われました。特に注目すべきポイントは以下の通りです。
- ESG要素の統合:環境・社会・ガバナンス(ESG)の各要素が、資産価値に与える影響を評価に組み込むための指針が拡充されました。
- データ管理と評価モデリング:テクノロジーの進化を踏まえ、データの取り扱いや評価モデリングに関するガイダンスが強化されました。
- アクセシビリティの向上: 世界中でのさらなる普及を目指し、最新版のIVSがIVSCのウェブサイトを通じてデジタル形式で無料公開される体制が整備されました。
(参考リンク:日本公認会計士協会「IVS2025年版和訳の公表について」)
国内におけるVPO設立に向けた動き
ちなみに、こうした国際的な基準整備が進むなか、日本国内においても評価業務に携わる有志が集まり、「VPO(Valuation Professional Organization:評価専門家団体)」の設立を検討する動きが見られます。
VPOは、評価の専門性や倫理観の維持・向上を各国内で推進する機関ですが、日本国内においてもその検討が始められていることに注目しています。グローバルスタンダードであるIVSと連携し、日本のバリュエーション実務の底上げを図ろうとするこうした業界内の機運は、今後の動向として注視していく価値があると言えるでしょう。
(参考リンク:VPO設立有志の会)
おわりに
IVSのような国際的な基準が継続的にアップデートされ、日本語化を通じて国内に広く共有されることは、日本のバリュエーション実務の高度化に直結します。
弊社におきましても、国内の基準や実務慣行への精通はもちろんのこと、IVSをはじめとするグローバルな評価基準の最新動向を常に把握し、日々の評価業務に還元しています。
M&Aや財務報告目的の評価など、ステークホルダーに高い透明性と説明責任が求められる場面において、今後も国際水準に則った信頼性の高いバリュエーションサービスを提供してまいります。
