無形資産価値評価

PPA:パーチェス プライス アロケーション

PPA(パーチェスプライスアロケーション)とは、取得価格を資産負債等に配分することを意味しています。

PPAのステップの1つに位置する無形資産価値評価は、投資差額である「のれん」から無形資産を個別に評価して切り出すことです。M&Aをされた被買収会社には、どのような無形資産があり、その価値がどのくらいなのか?という買収者の意図・目的を、無形資産を通じて投資家に伝達するという重要な役割を担っています。

代表的な無形資産は、対象会社が有する顧客基盤に基づく「顧客関連」無形資産や、商標/商号等のブランドに基づく「マーケティング関連」無形資産などです。

「のれん」はこれらの無形資産を差し引いた残余として算出されます。

代表的な無形資産の例示

マーケティング関連 商標、商号、インターネット・ドメイン名、競業避止契約 など
顧客関連 顧客リスト、受注残高、顧客との契約、顧客との関係 など
契約関連 著作権、映像作品、ビデオ・テレビ番組 など
芸術関連 有利な契約、ライセンス契約、フランチャイズ契約、許認可、リース契約 など
技術関連 特許権を取得した/取得していない技術、ノウハウ、企業秘密、ソフトウェア など

PPAの意義

多額の「のれん」が計上されるM&Aに対し、多額の「無形資産」と少額の「のれん」が計上されるM&Aでは、明らかに買収の意図が異なります。

多額の「のれん」は、買収者と被買収会社(=評価対象会社)とのシナジーに対する期待や、評価対象会社の今後の業務拡大期待の高い買収であったことを意味します。
一方で、例えば多額の「顧客関連無形資産」は、対象会社が多数の継続的顧客網を有していることを意味し、被買収会社の強固な顧客基盤を買収したM&Aであることを、財務諸表を通じて投資家に伝達することになります。

無形資産価値評価のポイント

買収者の買収時の価格決定要因の把握
  • 買収目的の明確化とその把握
  • 買収時の「株式価値評価報告書」の分析と買収価格の構成要因の把握
  • 事業計画の分析(特にシナジーの分析)
対象会社の事業内容
  • 評価対象会社が有する価値の源泉の分析と理解
  • 評価対象会社が属する業界の分析
対象会社の顧客・技術等の動向
  • 対象会社が有する顧客基盤や顧客動向の分析
  • 主に製造業については、保有する技術の分析
  • ブランドや商号などに起因する競争力の優位性
IRR、WARA、WACCの比較分析
  • 各指標の理論的な算出
  • 各指標の整合性分析
  • 無形資産の価値算定に使用するリスクに応じた割引率の設定

無形資産価値の評価結果

識別された各無形資産ごとの価値評価結果は、最初に「無形資産価値の計算資料」としてご提示することも可能です。
貴社および会計監査人の確認が終了した後に、「無形資産価値算定報告書」を最終成果物として納品します。

必要に応じて、貴社の会計監査人からのお問い合わせに対する回答案作成などのご支援も可能です。